もう5年以上前だけれど、不妊カウンセラー試験の面接時、「妊活に一番大事なことは何と思いますか」との質問に「パートナーの存在だと思っています」というようなことを答えたのを覚えている。
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妊活ではたくさんの感情を経験する。言葉にならないほどの思いを抱えた時、一番救われるのはパートナーの存在だと私は思う。一番心が弱くなる時に、「一人じゃない」「味方がいる」と思えると本当に救われる。
奥さんの方が、病院に通い妊活の矢面に立つ分、感情豊かな分、感情に巻き込まれやすい。そして、一番近くにいるからこそ、旦那さんに全てを分かって受けとめて欲しいと願うのだ。もしくは、仕事で疲れている旦那さんのことを思って、自分で感情を抱え込むこともある。
旦那さんは旦那さんなりの考えがあることも多いように思う。
「辛そうだからそっとしておいてあげよう」
「自分は妊活のことを把握できていないから、選択は奥さんに任せようと思う」
など、自分の位置で自分の役割を全うしようとする。
奥さんの思いやりも、旦那さんの気遣いも、一つの優しさなのかもしれない。ただ、妊活での感情は一人ではなかなか昇華しにくいところがある。感情が残り積もることは、落ち着いた判断がしにくくなったりもする。感情は出来るだけ早めに昇華させるのが良い。そして一番の昇華方法が、ただ側で一緒に受けとめてくれる存在を持つことだと私は思う。
私も、妊活を専門にしていることもあり、奥さんのそういう存在であれたらとは願っているが、旦那さんには全く叶わないのだ。旦那さんに思っていること、その感情を伝えて、それを受けとめてもらった時に奥さんの顔は本当に変わる。それを何度も見ているからこそ、一番の味方が近くにいること、に気付いて欲しいと願ってしまう。
そして一番の味方と上手くやっていく方法は「素直な気持ちをシェアすること」だと思う。そういう時間を改めて持つのが良い。
奥さんは、病院で起こったこと・感じたことを半分こするかのように、旦那さんにシェアすることが大事。旦那さんは病院に行く機会が少ない分、話さないと感じられないこともある。
旦那さんは奥さんがまず求めているのが、共感・受容であることを忘れずに、「そんな体験・思いをしたんだね」とまずは全て全て受けとめてあげて欲しい。一緒に妊活をしていることを実感させてあげて欲しい。そして、その上で、自分の素直な気持ちを伝えてあげて欲しい。悲しむ姿を見たくないなら、何かサポートできることはないかと具体的に聞いてあげて欲しい。本当に悲しい時には、無理に明るくされるより、その歩幅に合わせてじっと黙って手を握ってくれているとか、そういうことが安心することもある。聞いてみないと分からない。
ほんと、妊活中にご夫婦がすれ違っていることほど悲しいものはない、と感じる。素直に向き合うのはほんと、勇気がいることだけれど、さらけ出すことで全てが不思議なほど解けていき、一番の味方を得る。と思う。