不妊鍼灸とは何か、を3回に分けてお伝えします。
①そもそも鍼灸とは?
②不妊鍼灸とは?
③不妊鍼灸の根拠としている論文について
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今回は、③不妊鍼灸の根拠としている論文について、です。
鍼灸雑誌や不妊雑誌、不妊鍼灸のあちこちのホームページに載っていますが、
『移植前後に鍼をすると確率が上がる』という内容…。
どんな人がどこに鍼をしたのかということまではどこにも書いていません。
鍼灸師の立場からすると、そこが気になるところ…。
私はどうしても具体的な内容が気になって、以前国立大学の図書館に調べに行きました。
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そうして分かったこと。。
一つは移植後に三陰交や合谷などに鍼をしているということ。
衝撃でした。
なぜかというと、三陰交は特に子宮収縮にもつながると、
日本の鍼灸師の間では移植後など控えられていたからです。
でも移植後の鍼灸の有効性を伝える海外論文の具体的な配穴には
三陰交が含まれているものが多いです。
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二つ目の驚きは、やはり中医の鍼を参考にしているからか、
「15~30㎜刺入」など刺激も強いようです。
その強い刺激で移植後の鍼灸の有効性を伝えているのです。
日本の不妊専門の鍼灸院では深めに鍼をするところはあまり聞きません。
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そしてもう一つ。
プラセボ鍼をされた方の方が、実際の鍼刺激をされた方より、
妊娠率が高かったとの論文もあったこと。
これは随分ショッキングでした。
ただ、移植後の心の安定がどれほど大事かを感じましたし、
移植後の鍼刺激は弱めがいいのではないかと思いもしました。
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移植前後の鍼灸の論文について、その結果だけではなく、
論文の詳細内容からみた、もう一歩踏み込んだ吟味が必要かと思います。